人生短し走れよ私

人生のピークを過去に設定するにはまだ早いんじゃない?

H30年公認会計士試験答案開示結果(企業法)

こんにちは。今回は会計士論文式試験の企業法について、開示結果を分析していきたいと思います。

 全体の概要については以下の記事をご覧頂ければと思います。

 

企業法の素点等について

まずは開示成績についてまとめます。

第一問

素点:19/50

得点比率:21.6

偏差値:43.2

第二問

素点:36.5/50

得点比率:29.25

偏差値:58.5

合計

素点:55.5/100

得点比率=偏差値:50.85

ご覧の通り、第一問が大変な成績になっております。偏差値43.2とか足切りも見えてますね。第二問で息を吹き返しましたが、なかなか厳しい戦いとなりました。では、次に答案と照らしながら分析してみます。

第一問

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予備校解答と見比べて思うのですが、企業法の見直しってどうやればいいんですかね。とりあえず問題1については検査役の話と趣旨は記述の跡が見られるので、その辺りに点数がきている気配がします。

問題2については完全に論ズレお通夜状態ですね。見直せば見直すほど、こいつバカじゃねえのと過去の自分を嘲笑したくなります。予備校解答では仮装払込について書いているのに、私の解答は利益相反ですから、ここは点数がもらえていない感じでしょうか。

素点が19点なので、そのほぼすべてを問題1で稼いで問題2は最後の方の記述で2点くらいもらえているのでしょうか。それにしても本当に企業法を勉強したのかわからないレベルの解答ですね。

第二問

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第二問は試験後に論点について盛り上がりましたね。差止なのか無効なのか、予備校の先生も含めてわいわいしていた記憶があります。

問題1については、法令違反とまで言い切ってはいませんが、外した解答は作っていないかなと思います。反対株主に該当しないなどの記述は点数がこないと思って切りましたが、書いておいた方が良かったみたいですね。

問題2については、私は差止と無効を双方検討→効力発生後のため差止できない→無効の訴えみたいな構成で書きました。これも大筋では間違ってはいなさそうです。

素点が36.5点なので(0.5点はなんなのでしょうね)、どちらも7割程度の点数がきていると予想します。

企業法まとめ

全体の偏差値は50.85でしたが、これはできない時の答練の成績くらいだったので、一応想定内に収まっています。監査論と企業法は毎回どちらかがコケるので、本試験時もどちらかコケるだろうなと予想していました。案の定企業法でやらかしましたが、これが上手くいっていれば二桁合格も視野だったので、そこだけが残念です。

まあこのように中問1つ吹き飛んだポンコツ答案でも何とか52近くまでは持っていけるので、企業法が苦手な受験生も守ることは全然できると感じでくだされば幸いです。今回は以上となります。

H30年公認会計士試験答案開示結果(監査論)

こんにちは。今回は会計士論文式試験の監査論について、開示結果を分析していきたいと思います。

 全体の概要については以下の記事をご覧頂ければと思います。

監査論の素点等について

まずは開示成績についてまとめます。

第一問

素点:18/50

得点比率:27.75

偏差値:55.5

第二問

素点:22/50

得点比率:32.8

偏差値:65.6

合計

素点:40/100

得点比率=偏差値:60.55

第一問の素点がやや低いですが、理論問題はあまり得意ではないので想定範囲といった感じです。第二問の素点に対する得点比率がかなり高く感じたので、事例系の問題はあまり解けていないのではと思います。次に答案と照らしながら分析してみます。

第一問

開示答案はこちらになります。

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とりあえず感想としては、問題数と記述量が多かったなという感じです。監基報を引用すればそれなりに骨格が作れそうな問題っぽいのですが、それを引く時間がないという意味で、その場での判断が重要な気がしました。予備校の解答と比較すると、問題1は二重責任の原則と経営者が注記を検討する義務があること辺りに点が来ている気がします。問題2に関しては、方向性は合っているものの、有効性についての記述が甘いかと思いました。

問題3は完全に外してますね。ここはゼロないし1点くらいしかもらえていないでしょう。一方で問題4はそこそこ的を得た解答ができています。問題5は当時よくわからなかったので適当に作文した記憶があります。案の定ズレた解答になっていますね。

総じて時間がなくて、文章をこねこねした感じになりました。基本的に事例問題の方が得意な傾向にあったので、それほどここに時間を投入していないことも原因として挙げられます。

素点が18点なので、問題4でそこそこ稼いだものの、問題3と5はほぼ0点、それ以外で半分弱くらいの点数くらいではないかと予想します。このレベルでも科目合格程度の得点比率が取れているので、やはり母集団のレベルはそれほど高くはないと想定できますね。

第二問

開示答案はこちらになります。

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第二問は事例形式の問題で、不正と棚卸立会辺りが問われています。問題1は不正の定義と不正対応手続を解答しましたが、予備校解答では不正の兆候を識別した場合のみが書かれていますね。無駄に字数を重ねた気がしますが、大筋ではズレた解答をしてないように思えます。問題2については、答案作成時に行数が多くて何書いたらいいか分からないなあと思った記憶があります。予備校解答はきれいにまとまっていますが、これも大筋では外していないので、そこそこ点が来ているのではないでしょうか。

問題3に関しては、伝達の項について大きな勘違いをしていますね笑。まあ振り返れば経営者と監査役への伝達だとは思うのですが、受験時はそれほど頭回りませんでした。重要性もウソは書かないで置きにいった解答となってます。未発見の虚偽表示についても他の勘定科目への不正についての言及が足りませんね。問題4は重要性の判断のところは記述が甘いですが、是正措置の部分はそこそこ書けてますね。

素点が22点なので、問題1,2,4はそれなりに点がきていて問題3はあまり点がきていない感じでしょうか。反面得点比率はまあま高いので、事例が苦手な受験生が多かったか第一問で時間をかけすぎてしまった方が多かったと予想できます。

監査論まとめ

全体の偏差値は60.55で、答練や模試の成績と比較してもこんなものかなといった感じです。監査論と企業法はボラティリティが大きい科目だったので、上手くいった時の偏差値がこれくらいでした。それにしても素点40点でも60を超えてくるのは驚きです。よく予備校の先生が母集団のレベルが高くないとおっしゃっていましたが、それはその通りだと感じました。この精度でも余裕で科目合格を超えた成績が取れるので、参考にして頂けると嬉しいです。今回は以上となります。


 

H30年公認会計士試験答案開示結果(会計学午後)

こんにちは。今回は会計士論文式試験会計学午後の部(以下財務会計論とします)について、開示結果を分析していきたいと思います。

 全体の概要については以下の記事をご覧頂ければと思います。

財務会計論の素点等について

まずは開示成績についてまとめます。

第三問

素点:36/60

得点比率:29.6

偏差値:49.33

第四問

素点:39.5/70

得点比率:43.95

偏差値:62.79

第五問

素点:43.5/70

得点比率:47.8

偏差値:68.29

合計

素点:119/200

得点比率:121.35

偏差値:60.68

やや第三問の成績が芳しくないですが、第四問と第五問で引っ張った形で、合計では60を超えるに至っています。次に答案と照らしながら分析してみます。

第三問

答案はこちらになります。

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記述欄以外の正解数:10/18
はい、これは反省点しかないですね。S/Sで間違えまくっています。なぜこうなったのかよくわかりませんが、こんなん余裕やろと思って調子こいた結果だと思います。反面理論はほぼ解答できているので、理論に救われた感じでしょうか。素点が36点なので、計算で10か所×2点で20点、理論で16点といった形ですかね。問題が平易だったため、得点比率が伸び悩んだ形になります。

第四問

答案はこちらになります。

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記述欄以外の正解数:2/2

第四問は理論onlyなので分析し辛いですが、所感としては答練等より平易に感じました。特に講義から逸脱した問題は出ていないように思われます。もちろん私の答案に内容が足りない部分もまあまああるは思いますが、基本をおさえていればある程度かける問題だったのではないでしょうか。

それでも素点が39.5点なので、30点は落としているんですよね。典型問題における記述の精度は高めていかないといけないことが分かります。しかし偏差値に換算すると60を超えてくるので、母集団の平均はそれほど高くないこともわかります。

第五問

答案はこちらになります。

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記述欄以外の正解数:13/18

とりあえず印象深いのは仕掛研究開発の処理ですね。こんなん分からんわと困った記憶があります。そしてとりあえずぶち込んでみて、その部分は死んでいます。反面在外子会社の部分はそこそこの精度で合わせているので、上記のような結果になりました。

また理論についてはよくわからなかったので、間違いないことをうにゃうにゃ書く戦法でお茶を濁すことにしています。その結果、予備校の解答とは異なるものの、それなりの配点をもらえたのではないかと推測します。

素点が43.5点なので、計算13か所×2点で26点、理論で17.5点という感じでしょうか。理論は会計的に間違ったことを書かないということを意識すると多少でも点が取れるのではないかと思います。この程度でも偏差値68超えてくるので、基本をおさえつつ分からないところも嘘を書かないように逃げることでそれなりに何とかなることが分かります。

財務会計論まとめ

全体の偏差値は60.68でしたが、答練等の結果を踏まえ、まあこんなもんかなという印象です。もう少し第三問で稼げればという思いもありましたが、答案に穴がないので全体最適な解答ができたのではないかと思います。またこれくらいの答案で科目合格レベルははるかに超えられるという一つの基準になったのではないかと思います。今回は以上になります。

H30年公認会計士試験答案開示結果(会計学午前)

こんにちは。今回は会計士論文式試験会計学午前の部(以下管理会計論とします)について、開示結果を分析していきたいと思います。

 全体の概要については以下の記事をご覧頂ければと思います。

管理会計論の素点等について

まずは開示成績についてまとめます。

第一問

素点:25/50

得点比率:29.2

偏差値:58.4

第二問

素点:18/50

得点比率:28.55

偏差値:57.1

合計

素点:43/100

得点比率=偏差値:57.75

第二問の素点がかなり低いですが、得点比率にはそれほど影響していません。恐らく資金管理が埋没に近い形になったからだと思われます。次に答案と照らしながら分析してみます。

第一問

開示答案はこちらになります。字が汚いのは見逃してください。

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記述欄以外の正解数:12/17

恐らく問題2の問1のすべてに配点は振られていないと思われるので、実際はもう少し低めでしょうか。個人的には第二問に時間かけすぎて第一問に時間をかけられなかった印象があります。連産品の出題と円以下四捨五入の指示はクソだと思いました。

また予備校の解答と比較すると、理論は全体的に少しずれた解答をしているので、記述は半分くらい点が来ている感じがします。

素点が25点であることを考えると、計算等は9か所×平均1.5点で13.5点くらい、理論で11.5点くらいな感じですかね。まあこれくらい空欄でもそれなりに点がくるんだなあと思いました。

第二問

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記述欄以外の正解数:9/21

第二問は資金管理が意味不明だった記憶があります。それでも何とか2か所くらい拾えているので、拾えるところを拾う姿勢は大事かなと思います。でもまあ第一問に使っておけば全体最適だった気もするので、微妙なところですね。問題2は問題文読み間違えて計算落としているので、きちんと読んどけば全問正解できたはずです。ちょっともったいなかったです。

また理論については、キャッシュフロー計算書の意義とかわかるかボケと思いました。問題2の意思決定会計の記述はあまり外してないので、その辺で得点しているのかなと思います。素点が18点なので、計算等で9点、理論で9点みたいな感じですかね。

管理会計論まとめ

全体の偏差値は57.75でしたが、答練等の結果を踏まえるともう少し取れてもよかったなという印象です。やはりABCでの計算ミスが痛かったですね。また理論は簡単に正答できそうな問題(問題2の最後のやつとか)と解答困難な問題(C/Sとか)が明確に分かれていた感じだったので、差がつきにくかったかなという印象を持ちました。

まあこれくらいの答案で科目合格レベルという一つの基準になったのではないかと思います。今回は以上になります。

H30年公認会計士試験答案開示結果まとめ

こんにちは。最近随分と暖かくなってきましたね。長らく更新をさぼっておりまして申し訳ありません。今回は会計士試験絡みの記事となっております。

結構前の話になりますが、私の受験した会計士論文式試験の答案開示請求をしておりました。先日開示結果が来たので今後の受験生の参考になるかと思い、結果をまとめたいと思います。

H30年の全体の結果について

H30年の結果については、公認会計士・監査審査会のHPにまとめられているので、そちらを参考にして頂ければと思います。

平成30年公認会計士試験の合格発表について

1305人が合格し、願書提出者に対する合格率は11.1%だったそうです。前年と合格率はあまり変わらないので、今後も同じくらいの合格率になるのではないかと思います。

私の受験結果サマリー

とりあえずざっくりした私の受験結果を下にまとめます。数値は得点比率、かっこ内は順位です。

  • 総合得点比率:59.27 (195位)
  • 会計学:59.70 (217位)
  • 監査論:60.55 (310位)
  • 企業法:50.85 (1132位)
  • 租税法:64.20 (135位)
  • 経営学:60.20 (287位)

全体として安定して得点することができ、全体順位もそこそこ高めな感じになりました。企業法だけはコケてしまいましたが、企業監査のどちらかはコケると思っていたので想定内です。勉強時間に対する出来栄えとしては租税法がかなり跳ねたことに驚いています。やはり論文式試験では科目数が多いので、バランスよく点を稼ぐ姿勢が求められるのではないかと思います。

各科目の詳細分析と答案について

詳細については別記事に書いていきたいと思います。記事を更新次第、リンクを下に貼っていきます。 

命の重さの話

こんにちは。かなり昔から夜眠れないことが多く、それならブログでも書くかと思い、こうして書いております。今日は命の重さについて考えてみます。

煙の重さの測り方

まあいつものように小話からいきましょう。皆さんは煙草の煙の重さの測り方はご存知でしょうか。随分古い映画の中で、こんな測り方が紹介されています。まず精密な秤で煙草の重さを測ります。次に煙草を最後まで燃やします。そして灰の重さを測れば差し引きで煙の重さが分かるというものです。人間の命も同じように測れますかね。死ぬ寸前の人間の重さを計測して死んだ直後に重さを測れば、命の重さも出るんじゃないでしょうか。

命の価値は本当に平等か

さて小話もこの辺にして、本題に入ります。一般に命の価値は平等とされていて、人によって差はないものとされています。人類みな平等みたいなものです。しかし道徳的な観点以外で考えると、そうではない結論も導けそうな気もします。例えば経済的な観点では、たくさんお金を生み出せる人の方がそうでない人よりも重要だということもできそうです。また将来性を考えると、年齢という軸でも考えることが可能かと思います。どこぞの白熱教室ではありませんが、目の前に人が2人いてどちらを助けるかということを思考実験として考えたときに、こうしたことを考える必要が出てきそうです。まあ答えがないのは百も承知ですが、少し考えていくことにします。

どのような人を死なせたくないか

私たちは人が死んでしまうと悲しいですが、具体的な悲しみの度合いは亡くなる人によって異なるのが現実です。例えば肉親や配偶者を亡くしてしまうと本当に悲しい気持ちになりますが、TVのニュースで殺人事件が起きたことを知ってもそれほど悲しくはなりません。日本で年間に殺人事件で300人程の被害者がいますが、関係がない人の死をあまり悲しまないのではないでしょうか。ここから、私たちは関係の深い人をなくすと悲しいということが分かります。次に芸能人の訃報について考えます。一方的に知っているだけの普通の人も、芸能人が亡くなったことに悲しみを覚えることがあります。関係というのは双方向である必要はなさそうです。

以上から、多くの人たちがその死を悲しむ(=死なせたくない)人は、多くの人から認知されて深い関係を築いている人だということができます。

命の重さは人々の記憶

深い関係を築いていたり多くの人の印象に残っている人は、より死なせたくないと思われているということがわかりました。これはその人が記憶されている総量が多いことを意味します。一世を風靡したスターの訃報が悲しいのは、その人をよく知っている人が大勢いるからです。肉親を亡くして悲しむのは、一緒に過ごした年月が長いからです。

こうして考えると、世の中の人々の記憶総量がその人の命の重さと言えるかもしれませんね。脳の記憶が電気信号によるものならば、命の重さは〇〇GBとか表せちゃうかもしれません。この記憶重いなあ、なんて話が落ちたところで筆を置きたいと思います。

就活は大学生活の集大成なのか

ついこの間、知り合いが「就活は大学生活の集大成だ」と言ってたんですよ。これ、割と最近の(特に文系の)大学生は結構納得できる意見だと思うんです。

世間では就活の長期化が問題だと叫ばれ、経団連辺りが中心となって様々な取り組みがなされていますが、実際自分が就活した実感でもあまり効果があるとは思えないです。結局日本特有の本音と建前に企業と学生の双方が振り回されて、lose-loseになっている気すらします。経団連とかに所属してない企業が青田刈りするみたいなことも起きうるので、色々システムは改善する余地があると思います。

閑話休題しまして、やっぱり最近の大学生にとって就活は非常に重要なイベントです。まあ転職があるとはいえ、向こう何十年の社会人生活の入り口になりますから、当然といえば当然ですね。しかし、少し前までは(私はその時代を生きていませんが)、大学生活の集大成は卒業論文だという時代もあったような気がします。というか、私も大学に入学するまでは漠然と卒業論文なるものを書くのだろうと考えていました。

それが入学すると、まず社会科学系の学生は卒論が必修でないこともあると気付きました。私の所属する学部も選択必修ということで、書かなくても普通に卒業できると知って驚きました。必修でないとなると、卒業論文の意義はかなり薄れてくると言わざるを得ません。

考え方にもよりますが、大学の講義は卒論を書くための材料として提供されているのではないかと感じる時があります。経済学であれば、ミクロ経済学マクロ経済学線形代数解析学を知らないと先行研究を読むことができません。また学術文章を書くような講義を履修しないと論文の形式に沿った文章を書くことが困難になります。こんな感じで、まあ真面目に講義を受けることが卒論の完成度をある程度まで高めることができるんじゃないかなあと思います。

この視点に立つと、卒論がないとなかなか講義も身に入らないんじゃないかという気にもなります。よく日本の大学生は勉強しないという議論がありますが、そもそも勉強したものを使う機会に恵まれないのも原因じゃないかとも考えられます。就活で訊かれるのは大体学生時代頑張ったことなどで、チームで成果を挙げるなどいわゆるコミュニケーション力を評価されます。こういった評価軸に、必ずしも大学の学問は必要ありません。必然的に学業の優先度は落ちていきます。大学生が適当に取得する130単位前後の講義は、大卒の資格と4年間の猶予を与えてくれるに過ぎなくなってきています。

就活に特化した学生生活も本人がそれでよいと思うならいいんじゃないかというのが私のスタンスですが、政府はそう思っていないようで、だからこそ様々な施策を打ち出しているのだと思います。この時、就活を集大成にしないためには、勉強したことを活かせる何かを作りだすという方向性も考えられるのではないでしょうか。現状では大学で学ぶレベルの学問を活かせる場所が限られているように思います。意欲のある人は論文書いたりするのでしょうが、大学生のボリュームゾーンはそこまで活発ではないでしょう。

基本的に普通の人たちは迫られた状況にならないと勉強しません。定期テストがないのに勉強する中学生とか、受験もないのに机にかじりつく高校生はまれな存在です。であるならば、単に就活の時期をずらすということ以外に、彼らに勉強したことを活かせるような環境を提供することも勉強に対する動機付けの方法なのではないかと思います。