人生短し走れよ私

人生のピークを過去に設定するにはまだ早いんじゃない?

好きを仕事にすること

最近、「好きを仕事にしよう!」みたいなキャッチコピーをよく目にします。まあ昔からこのテーマは議論になっています。私が目にするようになったのは、単に私が就職を意識する年齢になったからでしょう。というわけで、今回のお題は好きを仕事にすることについてです。まだ社会人になってない青二才ですが、考えてみたいと思います。

まず好きなことって何なんでしょう。趣味がまず真っ先に浮かびます。私はあまり趣味が多い方ではありませんが、ダーツをするのが好きですね。じゃあダーツで食べていこうと思うと、それはちょっと無理ですし、しようとも思いません。何故かと言われると、圧倒的に実力不足なのとそこまで情熱がないからですね。

仮に漫画を描く実力があって情熱もある人が趣味を仕事にしたいと思ったとしましょう。その人は漫画に対してものすごくモチベーションがあります。それを仕事にしたいと思うわけですから、やる気まんまんなはずです。このモデルをインセンティブ理論を用いて考えてみます。

インセンティブ理論は主に行動経済学などの分野で議論される理論です。ここでは金銭的インセンティブと非金銭的インセンティブを考えます。前者は非常に解りやすく、お金を得られるという結果に対して生じるインセンティブです。働いたら給与がもらえるというようなものです。後者は例えば、やることが有意義であるとか、誰かから期待されているとかそういう金銭では測れないインセンティブです。

きっと漫画家志望の彼(女)はとても絵が上手だと思います。でも最初はそんなにうまくなかったかもしれません。しかし周囲の人が褒めてくれたり、もっと描いてって頼まれたりしたから上手になったのかもしれません。非金銭的インセンティブが作用している状態です。

ここから商業漫画家を目指し、めでたく連載が決まったとしましょう。この時彼(女)は自分の描く漫画に対して原稿料や印税が払われます。この時作用するのが金銭的インセンティブになります。ここで両方のインセンティブが働くからますます情熱が湧くというのがパッと浮かぶ結果なのですが、そう簡単にはいかないようです。

行動経済学者の実験では、金銭的インセンティブがモチベーションを阻害する場合があるという結果が出ています。即ち、活動を行う理由が金銭に変化することで、非金銭的インセンティブの効果が弱まるということになります。

この実験結果を考えると、彼(女)は賃金をもらうことによって漫画に対してのモチベーションが低下するということになります。情熱がモチベーションと同義であるならば、漫画への情熱が冷めていくということになりますね。もしかすると、「好き」ではなくなってしまうかもしれません。

あくまで行動経済学からの観点ですが、「好き」を仕事にした場合、それが「好き」でなくなってしまうかもしれないということがわかりました。自分の持つ情熱がどれくらいなのかということを熟考した上で仕事を選ぶ必要がありそうです。