人生短し走れよ私

人生のピークを過去に設定するにはまだ早いんじゃない?

節税か 租税回避か 脱税か

表題で意味不明な一句を詠みました。皆さまご健勝でしょうか。

そろそろ定着して久しいふるさと納税、私も去年からやっています。先日宮崎県から牛肉が届いたので美味しくいただきました。ふるさと納税は厳密には節税ではないのですが、ほとんどのケースで返礼品の相当額が寄付金控除の下限を上回るので、実質的に節税と言っていいでしょう。

社会人になると節税対策に苦心している方も多いんじゃないかと思いますが、一般の方々は表題で書いた3つのワードをしっかり区別できてるのかなとふと思いました。これからの話は総論的かつ概要を述べたもので、プロとしてのアドバイスは含まれていませんことご了承ください。こういうディスクレーマー入れないと死ぬ病に罹っています。

はじめに

そもそも論としてなんで私たちは税金なるものを取られているのでしょうか。詳しくは租税法の教授や国税庁にでも聞いてほしいんですが、まあ国を運営するお金はサービスを受ける人から集めましょうね(応益主義)、でも貧富の差があるから納められる人はたくさん納めてね(応能主義)、という感じで国税だったり地方税が徴収されます。定額負担の税金は前者で、累進で課税割合が高まるものが後者になります。ちなみに納税義務は憲法で規定されています。

また、租税法律主義という原則が存在し、憲法で税を課すには法律の定めがいるよと決まっています(憲法第84条)。もしこれがなかったら国が勝手に財産徴収できてしまい、財産権の侵害とかいう騒ぎになりますからね。この租税法律主義が後から効いてくるので覚えておきましょうね。

まあ法人税法132条1項みたいに一定の条件下で税務署長が税金の額を決定できる凄い法律もあったりしますが、まあかなり特殊な例なので今回割愛します。そもそも私は法律のプロじゃないのでボロが出る前にコーナーを終わります。

節税:国が認めた方法で税負担を軽減すること

節税はみんなのイメージ通り税金を節約することですが、こちらは国が定めたルールにのっとって税負担を合法的に軽くしようとする行為といったところでしょうか。例えば法人税法における特別償却や研究開発税制等、所得税法における医療費控除等がそれにあたります。毎年税制大綱というものが内閣から発表されますが、ちょいちょいその時々に応じた税負担軽減の方法が入っています。

税制改正の概要 : 財務省

よくFPが貯蓄型生保に入れというのも、所得税額控除を獲得しろということなんだと思います。私はFPじゃないので真相は知りませんが。前述したふるさと納税も国が認めたルールなので節税ですね。

脱税:課税要件を満たしているのに納税しないこと

先ほど法律の定めがないと課税できない(租税法律主義)と書きましたが、逆に法律の定めがあれば課税が可能ですので、国民は不服ながら税金を納めます。ここで、法律で決まっているのにもかかわらず何らかの方法で正しい税額を納めないことを脱税と呼びます。

なんでこんなことができるかというと、日本では申告納税制度という方法を取っているからです。確定申告という用語があるように、所得税法人税は、納税者が自ら所得などの申告を行うことにより税額を確定させて納税します。この時に売上やら経費やらをごまかして所得を圧縮して税金を減らそうとすることは仕組み上は可能で、ルールで決まってるのに正しい税金を納めないのを脱税というんですね。脱税は程度によって納税額が増えたり罰金があったり懲役刑があったりしますので、気を付けないとですね。どうでもいいですが、この世で一番指摘されている納税漏れは印紙税だと思います。

租税回避:課税要件を満たさないスキームを用いて納税しないこと

またしても租税法律主義がでてきます。法律で定めた課税要件を充足していると個人や法人は税金を納めないといけないのですが、逆に言うと課税要件を充足していなければ納税義務はありません。これを上手く?と言っていいのか微妙なラインですが、使って納税額を抑えようとする行為を租税回避行為と言ったりします。

税負担を減らす目的で法律が想定していないような取引を行うような行動がそれにあたります。例えばタックスヘイブンや子会社の繰越欠損金を上手く利用して税額を抑えたり所得を減らしたりとかが考えられます。課税要件を満たしていないので、取引自体は違法ではないです。一方で取引の合理性という観点から見ると明らかに税金回避だろうとみなされるものも散見され、まあそういう観点から批判が集まりやすいです。でも一応法律の穴を突いているのでセーフというやつです。当然法律も改正されますが、実務上はなかなかいたちごっこな側面もあったりしますね。毎年国税と争っている某企業の税務チームは相当優秀なんだろうなあと思います。

おわりに

たまには会計っぽいこと書いてみました。今度はふるさと納税の節税以外の側面についても書ければと思います。みなさん国民の権利を行使して節税しましょうね。