人生短し走れよ私

人生のピークを過去に設定するにはまだ早いんじゃない?

夢の国への入場料の話

今年の4月からディズニーランドの料金が値上げされているようです。

ワンデーパスが7400円というのはなかなかに強気な料金設定な気がします。家族4人でいったら食費など含めて4万円以上の予算が必要ですね。さて、今回はこの価格がどのように決まったのかを考えていきたいと思います。

基本的にモノやサービスの価格は、それに対する需要と供給で決定されます。直感的に考えても、とても人気の商品は値段が高くなりそうですし、売れ残った、すなわち需要のあまりない商品は値引きされて売られます。このアイデアだけで考えると、ディズニーランドのサービスの需要が大きいから価格が上がったということになります。おそらくその通りでしょう。

次に、運営している企業は利益をたくさん出したいと考えているはずです。それを考えると、価格の上昇によって2つのことが起こり得ます。1つ目は単価の上昇による売り上げの増加、2つ目は価格上昇によって来場客が減少し売り上げが減少です。値上げによって売り上げが増加するかどうかは、この2つの効果のうちどちらが大きいかということになります。この2つの効果は価格弾力性という概念にまとめられています。ディズニーランドの場合は固定ファンがいるようで、2つ目の効果が小さいみたいです。というわけで、価格上昇によって売り上げの増加が見込めることになります。

ここまでがまあ一般的な財やサービスに言えることなのですが、ディズニーランドという空間は少々ほかのモノとは異なった特徴を有します。それは、1)入場キャパシティが存在し、2)来場客の人数で満足度が変化することです。他の財であれば、工場の規模にもよりますが、長期的に考えれば同じ価格で生産したいだけ生産をすることができます。しかし、遊園地というサービスは空間が決まっているため許容できる人数の限界が存在します。また、来場客の満足度は人数について右肩下がりであると言えるでしょう。長時間のアトラクションの待ち時間、混雑した店舗を考えれば明白です。もし来場客が、正確に自分の満足度を支払い許容額に反映できるならば、入場数が多ければ多いほど許容額が減少するということになります。

この条件を加えると、他とは違う価格メカニズムが浮かび上がってきます。料金の上昇→入場客の減少→客の満足度up→支払い許容額の増加という流れです。したがって、料金の上昇が満足度の上昇につながるため、料金が上昇しても顧客の減少に結びつきにくくなります。

じゃあ料金を上げ続ければよいのではないかという話になりますが、実際には、人が少ないことによる満足度の上昇量は、人数が少なくなればなるほど減少していくと考えられるため、ある程度のところで支払い許容額の増加分>価格上昇ということになり顧客が減少すると考えられます。したがって、ディズニーランドでは価格弾力性に加えて満足度の変化も料金設定に影響を与えると考えられるでしょう。

満足度を正確に測れる人間なんていないでしょうし、単純に料金が上がっても行き続けるのはファンだからだとも思います。しかしこのように満足度という要素がディズニーランドの価格設定を見る一つの視点にもなるんじゃないかなと思います。

ディズニーランドは繁忙期には入場制限がかかるほどの人が押し寄せるそうです。その環境では、料金を値上げすることによって一人ひとりの満足度を上げる戦略を採用した方が双方にとって良いことなのかもしれません。

夢の国が夢のまた夢の国になってしまう人もいそうですが、企業としての利益や顧客満足度を考えるとこの値上げは妥当ではないかと思います。